2023年3月23日木曜日

87章-2

 程鳳台のテーブルには藩長官という影響力のある男がいた。彼は商細蕊を指差して、笑いながら「おお、商老板じゃないか!」と言った。

それを見た曹司令官は、商細蕊にそのテーブルを一巡して、一杯ずつ呑み交わすように言った。商細蕊は下戸な上、この後歌う予定になっていたので嫌だったが、この日に曹司令官の顔を立てないわけにもいかなかった。


商細蕊は酒壺を持つと、程鳳台を見た。程鳳台も一瞬商細蕊を見た。二人がこんな形で会うのは初めてだった。一人は酌婦、もう一人は貴賓。程鳳台の目には微笑みもからかいもなく、そこには緊張した見知らぬ人がいるだけだった。


藩長官から始めて、一人ずつ、酒を注いでは一緒に一杯飲んでゆき、程鳳台の番が来た。程鳳台は彼と目を合わせようとしない。いつもなら、おおっぴらに目配せしたりしてくるのに。


商細蕊にとってこれは早くから手を染めた慣れた商売だった。酒を注ぎ、二言三言冗談を言う。それの何がそんなに悪いのか。程鳳台のこの態度は何だ。まるで私が罪でも犯したみたいだ。


後ろめたい気持ちで、程鳳台の杯に特別になみなみと酒を注いだ。


程鳳台は話しも笑いもせず、彼を見もしない。酒を一気に呑み干すと、怒っているかのように、杯の底を商細蕊に向けた。


商細蕊にとって酒の相手をするのは、食べて飲んで称賛されることで、こんなに憂鬱になったのは初めてだった。程鳳台がここに座っていると、すべてが間違っていたような気になる。心の中に、名前のない恥ずかしさ、名前のない狼狽があった。まるで自分が罪でも犯したかのように感じた。




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