2023年3月23日木曜日

87章-1

 曹三(曹司令官の娘)が結婚し、商細蕊はその祝宴の席で歌うことになっていた。范金泠と、婚約者の杜九も出席していた。


金泠がお色直し中の曹三と控室で話していると、どこからか、商細蕊の歌声が聞こえてきた。商細蕊が曹家にいた1年ほど、曹三は毎朝商細蕊の歌声で起こされていたので、懐かしくなって「商老板はどこで歌っているの?」と聞いた。


そこから商細蕊の話になり、控室にいた周りの女性たちが興味をひかれて集まってきた。金泠は商細蕊を宝物のように扱う人たちがみんな憎くて黙っていられず、商細蕊を貶めるような話をした。いい話はひとつもせず、悪事の歴史をすべて話した。金泠は彼への憎しみをみんなと分かち合おうとしたのだが、結局その目論見はあまりうまくいかなかった。


しかしこの出来事はすぐに商細蕊の耳に入った。商細蕊は冷たい目をして立ち上がり、近くの役者に「どれが杜九?」と聞いた。聞かれた役者が指差すと、その男に後ろから静かに近づき、微笑んで、「こんにちは、九坊ちゃん」と声をかけた。


商細蕊を見て、金泠は妖怪を見たかのように体を硬くした。杜九は、完璧な女性の装いをしている彼を見つめて、顔を赤くした。商細蕊にとって、このような若者を扱うのはたやすいことだった。彼は屈んで杜九にお酌をした。礼儀正しく、微笑んで「お兄さんの七坊ちゃんには親しくしていただいています。弟さんにご挨拶を」

話しながら、挑発するようにわざと金泠をちらと見た。


杜九は慌てて杯を持ち、乾杯した。彼の顔はまだ赤く、金泠に対しても感じたことがないほどドギマギしていた。それは主に、兄の杜七と商細蕊の関係について騒がれていた噂のせいだったが、彼の目に商細蕊はミステリアスで魅惑的に映った。

金泠は髪が逆立つほど怒って、目を真っ赤にして席を立った。


程鳳台はこの一幕を別のテーブルからはっきりと見ていた。






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