2023年3月23日木曜日

75章

 商細蕊の女物の豪華な指輪は、多くのファンを騒がせた。タブロイド記者の目にも止まり、「豪商Y氏、洋館をダイヤの指輪と交換、俳優Xに贈る」というゴシップ記事が書かれた。やがて記事は程美心の目に触れ、美心は怒りに体を震わせてすぐに程家へ向かった。


美心はニ奶奶に、程鳳台と商細蕊についてあることないこと涙ながらに吹き込んだ。「弟をちゃんと見張ってなきゃだめよ。商細蕊は普通の男と違うの。男を誘惑してお金を奪い、家庭を壊しては次の男に行くのよ」


「今まで弟がつきあったようなお嬢さん達と違って、商細蕊は海千山千よ。彼の相手はみんな名士ばかり。仕事では賢くても、男はこういうことはだめなものなの。弟を道に迷わせないで」

商細蕊に会ったこともない二奶奶は、恐ろしくなって涙があふれてきた。


程鳳台と二奶奶は、結婚した最初の数年は対立することもあったが、今はもう愛も色褪せて、泣いたり騒いだりすることもなく冷静だった。しかし翌日も二奶奶の顔は曇っていて、程鳳台に外出を許さなかった。


「二奶奶、私を子供みたいに扱うな。家で何をしろと言うんだ」


二奶奶は刺繍をしながら言った。「じゃあ、出かけて何をするつもり?」


「仕事だよ」程鳳台は言った。


二奶奶は冷たく笑って、刺繍針で程鳳台の口を刺す真似をした。「誰が嘘をつけと教えたの?」


それから数日、程鳳台はぼんやりと家で帳簿をして過ごした。冷たい言葉に耐え、癇癪も起こさなかった。


ある日、窓のそばで雑誌を読みながらアーモンドの殻をむいて食べていると、三男坊が涎をたらして自分を見ているのに気づいた。

程鳳台は微笑んで、「何を見てるの?もう歯は生えた?これ、食べられるかい?」

三男坊は彼を見て笑った。


二奶奶は三男坊のよだれを拭いてやりながら、怒りがおさまっていくのを感じた。程鳳台は従順で物分かりがよく、自分は彼の心も体も掌握できていると思った。


程鳳台は殻をむいたアーモンドの皿を持ってきて、「二奶奶、食べる?」と聞いた。


二奶奶は笑って、「もう出てって。うっとうしい」と言った。


その顔を見て、程鳳台も微笑み、「じゃあ、行くよ?」と言った。二奶奶は黙って彼を見た。程鳳台は急いで上着をつかみ、「本当に行くよ?」と言った。少し待って、二奶奶が怒り出さないのを見ると、急いで抜け出した。


その後ろ姿に、「夕食までには戻るのよ!」と二奶奶は叫んだ。




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