彼らは急いで服を脱いだ。お互いの息づかいでほとんど泣きそうだった。会えない時は、そのことを考えるほどイライラし、憎しみで歯軋りした。会えば今度は抱擁やキスなどでは全く足りず、愛で歯軋りした。相手の腹を割き、骨を砕いて髄をすすり、すべてを飲み込んで胃に収めたかった。
程鳳台が彼の中に入って来ると、商細蕊はわだかまりをすべて捨て去って程鳳台の背中に必死にしがみつき、圧し殺していた叫び声を上げた。この時、何日も不安でいてもたってもいられなかった商細蕊の心が腹の中に戻り、しっかりと収まった。
事が終わった時には空は明るくなってきていた。程鳳台は商細蕊の胸から降り、二人は肩を並べてベッドの柵にもたれて、長い間喘いでいた。程鳳台は商細蕊の汗ばんだ顔に触れた。商細蕊は目を上げて、虎視眈々と彼を見ていた。頬は紅く、眼はギラギラとして、小さな獣のように、いつでも程鳳台に跳びかかって生きたまま喰いちぎりそうだった。
程鳳台は喘ぎながら商細蕊の額にキスをした。熱い少年の匂いがした。「これのどこが玉堂春や李香君なんだ?天地がひっくり返るほど殴ったり蹴ったり、君と寝るのはケンカみたいだ。死ぬほど疲れたよ」
商細蕊は一言も言わず、相変わらず彼をじっと見ていた。程鳳台は彼の顔をやさしく叩いて、「君の接待はよくないな。女将に言いつけないと」
商細蕊はこれを聞くと程鳳台に飛びかかり、手足を強く押さえつけた。さっきの情事など、この数日の彼の寂しさや不安、悲しみを解放するには十分ではなかった。彼らが一緒にいてケンカや言い争いをしたとしても、それは彼らが一緒にいるということだ。もし程鳳台が怒って彼を拳で血が出るほど殴ったとしても、こんなに悲しくはなかっただろう。しかし程鳳台が背を向け、たった1日でも彼を無視したら、彼の心は砕け、胸の中を冷たい風が吹いて、よるべなく、生きていても虚しいと感じただろう。
商細蕊は悲しげな声を上げ、悔しさに鼻先を赤くして、歯を食いしばった。目には憎しみがあふれていた。程鳳台は逃れようとしたが、商細蕊が鉄の枷のように体を押さえつけていて動けないのに気づき、ひどい目にあわされるのではないかとパニックになった。無理矢理微笑んで、「商老板は力が強いな」と言った。
商細蕊は歯ぎしりして言った。「何日も、何してたんだ!」
程鳳台は正直に言った。「大事な仕事をしてたんだ。商売だよ。暇な日なんかどこにある」
商細蕊は言った。「大事な仕事!女郎屋で!」
程鳳台は言った。「商老板は見識があるだろう。男が商談をする時ほかにどこへ行くんだ」
「殴り殺してやる!」商細蕊は言った。
「やれよ」程鳳台は目を閉じた。
商細蕊は拳を握り、軽く程鳳台の顔を殴った。商細蕊にしては最も軽い殴打だったが、程鳳台は舌を噛んで口の中が血だらけになった。「本当に殴ったな!」
商細蕊は程鳳台が痛がっているのを見て後悔したが、なんでもない風を装って言った。「これぐらい何だ!本当に命を奪ってやりたい」
商細蕊の手が緩んだのを見て、程鳳台は商細蕊の上に乗って言った。
「分かった。私の命をやろう」
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