2023年3月23日木曜日

105章-1

 程美心は程鳳台の手を固く握って膝の上に置いた。

「姉さんの言うことを聞いて。目の前で、お祭りが戦争に変わろうとしているのよ。外で遊ぶのはやめなさい。あの役者とはきっぱり手を切って、早く家に帰るの。子供のことは、私が説得してあげるから」


程鳳台は意に介さない様子で微笑んで、美心をからかおうとしたが、美心はそれを遮った。

「あの役者があなたに対して本気だとか欺いてるとか、そんな話をする気はないわ。考えてごらんなさい。将来戦争になって、ここを去る日が来る。上海に戻るか、イギリスに行くか。彼が今の名声も地位も投げうって、あなたと行くと思う?芝居のためなら命も捨てる人よ。それとも妻子を引きずって、一生彼と北平で過ごすつもり?」


美心の話は、程鳳台が心の中でもう80回も考えたことだった。心が砕けるほど考えて、それでも答えは出ない。その時が来たら決断するしかなかった。

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