2023年3月25日土曜日

130章-2

 寒くなってくると、程鳳台は微熱を出した。微熱は高熱になり、痙攣を起こし、脚の傷は化膿して潰瘍となり、骨がいくつか見えた。方医師とイギリス人医師は緊急の診察をして、脚を切断するか話し合った。

二奶奶はこれを聞くと「鋸で脚を切ってどうなるの!もしそれでよくならなかったら、欠けた体で死なせることになる」と嫌がった。商細蕊は違う意見だった。「切るなら切ればいい、生き返る望みがあるなら。脚がないぐらい何だ。あなたは彼がいらない私は彼がほしい!」

これをたくさんの医療関係者や使用人、親戚友人の前で言ったものだから、二奶奶は顔色をなくし、それから何日も商細蕊を相手にしなかった。商細蕊は相変わらず商細蕊のままで、少しも冷遇されているとは思っていなかった。


程鳳台の怪我は手の施しようがなく、感染を繰り返していて、ペニシリンだけが命を救う手立てだった。戦争は1年以上続いており、ペニシリンは既に禁止薬になっていた。病院に在庫がないのは言うに及ばず、闇市でも買うのが難しかった。


商細蕊は何ヶ月か前、延安方面に大量のペニシリンを送ったことを思い出し、死ぬほど苦しくなった。みすみす程鳳台が生き延びる機会を逃したと感じた。苦痛が極限に達し、商細蕊は初めて程鳳台のもとを離れ、走って行って冲喜の棺の中に横たわった。


使用人がのぞき込むと、商細蕊は棺の蓋を閉めてほしいと頼んだ。使用人は怖くなって、二奶奶を呼びに走って行った。


二奶奶はやって来ると厳しい口調で言った。「あなたは私が十分に忙しくないと思っているの?家の中が十分乱れてないと?何を狂っているのよ!」


商細蕊は言った。「ちょっと蓋を閉めてみて」


二奶奶が怒りで死にそうになっているところに程美心がやって来た。彼女は商細蕊が何日も大人しくしていられるわけがないと知っていた。使用人たちに目配せして「商老板は試してみたいそうよ。あなたたち、早く手伝ってあげなさい」と言った。


使用人たちも生きている人間が棺に入って蓋をされるのを見たことがなかったが、主人に言われては従うしかなかった。4人で板の角を持ち、きっちりと重い蓋を閉めた。


商細蕊は望み通り狭い暗闇の中で、右を見て左を見て、最後に目を閉じた。彼は前に、万一程鳳台が死んだら自分が家族の面倒をみると二奶奶に言ったが、今は後悔していた。彼は少しも面倒をみたくなどなかった。程鳳台がいなければ、世界はドアも窓も開かない狭い部屋だった。生も死もなく、時間は永遠に尽きることはなく、程鳳台が気にかけていた人々も、もはや存在しなかった。


程美心は二奶奶を見て、「いっそのこと、釘を打ってしまえばいいのよ」と言った。



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