黄という顔なじみの記者が商細蕊の家へ来て、少しインタビューした後、写真を撮らせて欲しいと言った。ちょうど程鳳台も一緒にいたので、二人で撮ってもらうことにした。一緒に服を選び、遊びながらいろいろなポーズで写真を撮った。
後日、黄記者はフィルムを現像しながら、商細蕊に渡す写真を1枚選んだ。
その写真の中で、程鳳台は片腕を曲げて庭の梅の木にもたれかかり、商細蕊は程鳳台に少し重なる形で彼の前に立って、腕を後ろに伸ばして程鳳台の手を握っていた。程鳳台は警戒心のない笑を浮かべ、商細蕊は口をすぼめて明るく笑っていた。まるで口の中にこっそり飴を入れていて、口を開けば落ちてしまう、口を閉じていても甘さは隠せない。そんな嬉しさに満ちていた。
二人の男は見た目は普通にハンサムだったが、それぞれの艶っぽい態度が写真から滲み出ていた。黄記者はこの写真を撮った時には、その特別さに気がつかなかった。しかし今は、この写真から目が離せなかった。配置もよく、光と影が散りばめられて、まるで水彩画のようだった。彼はこの写真を2枚プリントして封筒に入れ、商細蕊に渡した。
程鳳台は商細蕊から受け取った写真を見て賞賛の笑い声をあげた。商細蕊はふと思いついて、写真を裏返し、メモを書いた。商細蕊の文字を知っている程鳳台は、これでせっかくのいい写真も台無しだと思ったが、止める隙もなかった。
字が書けない人ほど、書く時緊張するものだ。商細蕊は指先が白くなるほどきつくペンを握り、震えながら4つの大きな文字を書いた。
百年好合。(生涯のよき伴侶)
これは題字。そして行を変えて、「商郎、伉俪を携え、宅内の白梅の下にて撮影す」と書いた。
程鳳台は怒って、「なぜ、私は名前さえないんだ!」と言った。
「あるよ!」と商細蕊は「伉俪(夫婦)」の文字を指差して言った。「これがあなただ」
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