姜会長に梨園会館に呼び出された商細蕊は、全国から集まった役者たちの前で吊し上げられる。
姜会長はどこからか手に入れた「趙飛燕」の薄く肌の透ける衣装を持ち出し、あれは淫劇で、梨園の伝統を傷つけたと言う。商細蕊は反論するが、聞き入れられず、師祖の前で跪いて謝罪しろと言われる。
(このへんは大体ドラマと同じ。違うのは二旦那が一緒に来て外で待っていることと、李天瑤という役者が出てくること。七坊ちゃんは自分の言いたいことだけ言ってさっさと帰ってしまった。)
(いじめはドラマより執拗。ちなみに姜会長は「姜老爷子」で、会長なのかよくわからなかったけど会長って書いておく)
ここで謝罪すれば面目を失い、これまでの新しい芝居をすべて否定することになる。戦えば戦ったで多くを失う。商細蕊はどうしようもなく、立ち尽くしていた。
中には商細蕊の味方をしようとした者もいたが、恫喝され、みんな会長を恐れて口を開かなくなった。商細蕊の親しい友人や、趙飛燕の舞台に花篭を送ってくれた人、客席から「好!」と声をかけてくれた人も、敢えて姜会長に逆らうことはしない。商細蕊は梨園の情の薄さをひしひしと感じる。
商細蕊が譲らないのにしびれを切らし、四喜儿が「面子にこだわって、死んでも過ちを認めないつもりですよ。頑固なロバは押さえつけて叩頭させればいいんです」と言い出す。姜会長の弟子たちが商細蕊を取り囲む。商細蕊は身構える。
程鳳台は外に停めた車の中でイライラしながら待っていた。杜七が去ってから2時間以上、出てくる者も入っていく者もいない。中で何が起こっていようと、入って行って商細蕊を連れ出そうとも思ったが、梨園のことを知らない自分がそんなことをしてもいいものかと悩む。
そこへ、会館を抜け出して来た李天瑤という役者が、程鳳台を見つけて声をかける。
「あなた、程の二旦那?商老板を待っているんですか?」
程鳳台がうなずくと、
「早く行って。ウソをついて商老板を連れ出すんです。今回彼は大負けしますよ」と言った。
それを聞くなり、程鳳台は李天瑤の名前も聞かずに飛び出して行った。
程鳳台はニ道門に入るところで商細蕊が「このクソが!!」と叫ぶのを聞いた。間に合わなかったと思いながらとにかく走って、ドアを開けるか開けないうちに「商老板、もう時間だ!迎えに来たよ!」と叫んだ。
商細蕊は振り向いた。彼の目を見れば、何を言う必要もなく、彼がどれほど悔しい目に遭ったか分かった。この子どもの頑固で悲しい二つの目は、赤くなって、少し光っていた。
満場の役者たちが座ってヒソヒソ話している中、彼はただひとりで立っていた。
程鳳台は心が動き、躊躇なく彼の腕を掴んだ。商細蕊は体が固まっていて、程鳳台に引きずられ、半歩歩いて、よろめいた。
程鳳台の腕にもたれる格好になり、片手がコートの襟の中に入って、まるで女性が甘えているようだった。
四喜儿は嗤って「程の二旦那は心が疼くのね。商老板は人を疼かせる方法をよく知ってるから」
四喜儿が言い終わるが早いか、商細蕊は程鳳台の懐から金鎖のついた重い懐中時計を引っ張り出し、歯を食いしばって四喜儿の顔に投げつけた。四喜儿は悲鳴を上げ、顔を覆って地面に倒れた。
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