2023年3月23日木曜日

98章-1

 商細蕊は思い立って北平中の親交のある同僚たちを六国飯店に招き、酒と西洋料理をふるまった。多くの役者たちが集まり、みんなこれはなにかおめでたい発表があるのだろうと考えた。钮白文が商細蕊に酒を注ぎに来て、「今日は盛況ですね。何かお話があるんですか?何でも言ってください」と言った。


商細蕊はグラスを持って立ち上がり、真面目に挨拶をした。

「本当なら年内にこのような場を設けるべきでしたが、外地に行っており遅くなりました。今日はみなさんにお集まりいただき、お礼申し上げます。いつもお世話になり、感謝しています」


多くの人は、商細蕊が梨園会館でのことを言っているのは分かっていた。あの時、商細蕊のために立ち上がる人はほとんどいなかったが、追い討ちをかけるようなことをしたわけでもない。しかし今は無事災難を切り抜けたからお礼を言うというのは、遠慮しすぎというもので、みんな恐縮して黙ってしまった。


商細蕊は続けて言った。「钮さんからいつも、私は大の男なのに小来のような女の子に鞄持ちをさせて話にならないと言われていました。小来も成長し、みなさんとの行き来も不便になりました。


それで、特にお願いして、程の二旦那、程鳳台に私のマネージャーになってもらうことになりました。この機会にお見知りおきいただきたく、皆様、どうぞよろしくお願いいたします」


期せずして全員が、突然悟ったような曖昧な表情を浮かべて、微笑んだ。二人の噂は長い間街中皆の知るところだったが、始めは誰も信じていなかった。程鳳台は男色ではないと知っていたからだ。しかし時が経ち、今でも二人は一緒に出たり入ったりしていて、愛し合っている。皆信じられなかった。


彼らは程鳳台が夢中だとは言わず、商細蕊の色事の手管に感心した。財産もあり妻子もいる、程の二旦那を近臣に収めるとは、並の役者にできることではない。


程鳳台が皆と乾杯し、礼儀正しく話している傍らで商細蕊は笑っている。まるで結婚したばかりの夫婦が披露宴で賓客をもてなしているようだった。食事会は喜びと笑いに溢れていた。


钮白文は商細蕊と乾杯し、「商老板が願いを叶えたこと、お祝いします」と囁いた。商細蕊はグラスの酒を飲み干し、真っ赤になった。




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