2023年4月1日土曜日

131章-3

 程鳳台は病気の養生で外出せず、商細蕊は喉の養生と新しい芝居で忙しく、やはり外出しない。二人はしばらく静かに過ごしていた。程鳳台は誰もいないある午後、小間使いを追い払って部屋のドアをしっかり閉め、商細蕊に電話をかけた。「田さんはいますか。程鳳台です」


電話の向こう側では何の音もしない。長い時間たってから「二旦那?」と声がした。


程鳳台は眉をひそめた。「その声はどうした?」


「塩からいものを食べたんだ」と商細蕊は言った。


それからまた長い沈黙があった。


程鳳台は電話線が切れているのではないかと思って「商老板?」と叫んだ。


電話の向こうで「ああ、二旦那」と答えがあった。


彼の声がさっきより少しよかったので、程鳳台の眉間はゆるみ、ドア枠にもたれながら言った。


「聞いたかな。この前荷を運んだ時、死にかけたんだ。助かったが、脚はまだよくないし、あんまり動くと目眩がする。今は家族にしっかり見張られてるよ。何日かしてよくなったら君に会いに行く」この口ぶりは家族に隠れてこっそり長話をする恋する中学生のようだった。


商細蕊は言った。「いいね、そうしたらちょうど私の新しい芝居に間に合う」


程鳳台は言った。「君は歌うことしか知らないんだな。君の二旦那のケガの具合は聞かないのか」


商細蕊は大笑いして「二旦那は吉人天相、菩薩のご加護がある」と言った。


程鳳台も笑った。「口がうまいな」


二人はしばらくぼそぼそ言い合ってから電話を切った。電話を切ると、程鳳台の脚はこらえきれず、椅子に座ってぼんやりした。彼は今回九死に一生を得たが、この世界が現実ではないような感じが少ししていた。乱世では、命はあっという間になくなってしまう。他に何が捕まえられるだろうか。


今、彼は商細蕊さえ捕まえきれなくなっていると感じていた。死の淵から戻ってきたあと、商細蕊は彼に会いにも来ず、芝居のことを心配している。


それでも商細蕊ばかりを責めることもできない、と彼は思った。商細蕊は程家の門をくぐることはできないし、自分の怪我がどれほど重いかも知らないのだ。

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