かつての歌の師だった錦師父の舞台を見て、その衰えを目の当たりにした商細蕊は、深く考え込んだ。彼はすでに、中年になったら、どんなに遅くとも45歳になったら、若い女役をやるのはやめると決めていた。もし老生か老旦(男女の老け役)ができるなら、それが一番いい。
商細蕊は錦師父よりも恥を知っており、断じて面子を失うわけにはいかないと考えていた。更に言えば、40か50になるまで生きたら、その時は死のうと考えていた。天が死なせてくれなければ、自分でその道を見つけなければならない。この世で日に日に衰えてゆき、見る影もない姿を晒したくない。疲れた老人と過去の栄光を対比させることは、過去を破壊するようなものだ。最盛期に突然終わりの時を迎えることこそ、栄光の中に生きた者にとって最高の結末だ。
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